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カテゴリ:  択一 刑法 (司法試験)( 13 )
H 16-50 詐欺罪における処分行為
(正解全文)

学生A
財産的処分行為における被害者側の認識について,特定の財物又は財産上の利益を処分することの認識は不要であるとする見解では1項詐欺と窃盗とが,区別できないと思う。


学生B
甲が,食堂で飲食後に代金支払を免れようと考え,店員に,「金を忘れた。家に帰ってすぐに金を取って来る。」とうそを言い,店員をその旨誤信させて逃走したという事例(東京高判S.33.07.07)では,店員に支払を猶予することの認識があるから,特定の財物又は財産上の利益を処分することの認識が必要であるとする見解でも特定の財物又は財産上の利益を処分することの認識が不要であるとする見解でも2項詐欺の成立が肯定され,この結論は妥当だと思う。

しかし,甲が,食堂で飲食後に代金支払を免れようと考え,店員に,「代金は支払ったよ。」とうそを言い,店員をその旨誤信させて逃走したという事例では,店員に代金債権が存在することの認識がないから特定の財物又は財産上の利益を処分することの認識が必要であるとする見解によるとその成立が否定されかねず,この結論は不当だと思う。


学生C
甲が,食堂で飲食中に代金支払を免れようと考え,店員に,「友達を迎えに行ってすぐに戻って来る。」とうそを言い,店員をその旨誤信させて逃走したという事例(最決S.30.07.07)では,具体的な事実関係にもよるが支払を猶予することの認識を認めることは困難だろうから,特定の財物又は財産上の利益を処分することの認識が必要であるとする見解と特定の財物又は財産上の利益を処分することの認識が不要であるとする見解では異なった結論になると思う。


<参考情報>
前田 各論 p.230-3
山口 各論 p.252-6

最決S.30.07.07 (刑法判例百選Ⅱ- 47事件)
刑法第二四六条第二項の詐欺罪において、財産上不法の利益が、債務の支払を免れたことであるとするには、相手方たる債権者を欺罔して債務免除の意思表示をさせることを要し、単に逃走して事実上支払をしなかつただけで足りるものではない。

意識的交付行為説=特定の財物又は財産上の利益を処分することの認識が必要である。(曽根、前田、山口、最決S.30.07.07

無意識的交付行為説=特定の財物又は財産上の利益を処分することの認識が不要である。(平野、大塚、大谷、西田)
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by wolfgang_a | 2004-12-15 22:28 |   択一 刑法 (司法試験)
H 14-48 刑の執行猶予
(正解全文)

刑法第25条第1項の『刑に処せられた』とは,同条第2項の規定の仕方からして,を言い渡した判決が確定した場合を意味し,その刑について執行猶予の言渡しがあったときは,『刑に処せられた』場合に該当するとされる(最判S.24.03.31)

そして,同条第1項の『前に』の解釈について,同条の文理解釈を根拠の一つとする見解Ⅱ(『前に』とは,『言い渡そうとする判決の前に』と解する説)(最判S.31.04.13)と,刑に処せられた者が再び罪を犯したことに執行猶予を原則として許さない根拠があるとする見解Ⅰ(『前に』とは,『判決を言い渡すべき犯罪行為の実行の前に』と解する説)との対立がある。

A罪により『懲役6月,3年間執行猶予』の確定判決を受けた者に対し,その判決確定日よりも前に行ったB罪につき,A罪での執行猶予期間満了前に,懲役1年6月の刑を言い渡す例を考えると,見解Ⅰ(『前に』とは,『判決を言い渡すべき犯罪行為の実行の前に』と解する説)では,『前に刑に処せられた』場合に該当しないので執行猶予の言渡しの可否は同条第1項 により判断することになるが,見解Ⅱ(『前に』とは,『言い渡そうとする判決の前に』と解する説)(最判S.31.04.13)によれば,『前に刑に処せられた』場合に該当するので,執行猶予の言渡しの可否は同条第2項により判断することになる。

したがって,A罪とB罪が同時に審判されていれば一括して執行猶予を付するのが相当と評価されるときでも,見解Ⅱ(『前に』とは,『言い渡そうとする判決の前に』と解する説)(最判S.31.04.13)によれば執行猶予の言渡しは不可能となる。

その結論は妥当でないとして,見解Ⅱ(『前に』とは,『言い渡そうとする判決の前に』と解する説)(最判S.31.04.13)を採っても,刑の執行を猶予した確定裁判前の余罪の裁判においては,『刑に処せられた』とは実刑を言い渡した判決が確定した場合を指すものと解することにより,B罪について刑の執行猶予の言渡しは可能とする見解がある(最判S.28.06.10)(最判S.31.05.30)


(参照条文)
刑法第25条第1項 次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは,情状により,裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間,その執行を猶予することができる。
 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても,その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
同条第2項 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその執行を猶予された者が一年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け,情状に特に酌量すべきものがあるときも前項と同様とする。(以下省略)

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前田 総論 p.487-9
最判S.24.03.31 (有斐閣 『判例六法 平成17年度版』 刑法25条 判例2)
最判S.31.04.13 (有斐閣 『判例六法 平成17年度版』 刑法25条 判例1)
最判S.28.06.10 (有斐閣 『判例六法 平成17年度版』 刑法25条 判例3)
最判S.31.05.30 (有斐閣 『判例六法 平成17年度版』 刑法25条 判例4)

この問題についての個人的な感想
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by wolfgang_a | 2004-11-01 15:01 |   択一 刑法 (司法試験)
H 16-43 中止犯
(正解全文)

【見解】
Ⅰ (学生C、大阪高判S.44.10.17、団藤、大塚、前田、山中)
中止行為が真しに行われた以上,結果が発生しても中止犯の成立を認めるべきである。

Ⅱ (学生A、山口)
中止行為と結果不発生との間に因果関係がある場合に限り,中止犯の成立を認めるべきである。

Ⅲ (学生B、平野)
中止行為と結果不発生との間に因果関係がある場合のみならず,中止行為はあったが中止行為以外の原因で結果が不発生に終わった場合についても,中止犯の成立を認めるべきである。

【発言】
学生 中止犯における刑の必要的減免の根拠として違法減少説の立場だけを採ると,Aさんの見解に結び付きやすいと思う。しかし,必要的減免の根拠として政策説や責任減少説の立場も併せて考慮すべきだと考えると,私の見解も十分に合理的ではないだろうか。

学生C ただ,必要的減免の根拠として責任減少説の立場を徹底して考えると,むしろ私の見解を採るべきである。

学生 現行法の解釈論としてCさんの見解を採るのは無理ではないか。

学生 Aさんの見解を推し進めると,相手を殺そうとして毒を飲ませた後に病院に連れて行って治療を受けさせた事例で,毒が致死量を超えた場合には中止犯が成立する余地があるのに対して毒が致死量に満たない場合には中止犯が成立する余地がないことになるが,私はそれは不均衡だと思う。

学生 私は,その事例で,毒が致死量に満たない場合には,中止犯規定(刑法第43条ただし書)を準用することができると考えている。

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前田 総論 p.169-70
山口 総論 p.245-6
大阪高判S.44.10.17 刑法判例百選Ⅰ- 70事件
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by wolfgang_a | 2004-10-05 17:37 |   択一 刑法 (司法試験)
H 08-56 刑罰と保安処分の関係
〔No.56〕
以下の記述は,学生A及びBが刑法における新旧両学派の基本的な考え方を要約したものである。( )に当てはまる語を下記の語群から選んで入れた場合,2回以上使用する語は何個あるか。

A  ( )の考え方によれば,( )は,行為者の犯罪意思に対する( )に基づいて,結果を含めた( )に均衡する( )として行為者に科されるものであり,それによって一般人を( )して犯罪を防止しようとするものであるのに対し,( )は,犯人の( )に着眼し,将来における犯罪の( )を目的とするものと理解されているので,両者は,本来,異質なものとされる。このような考え方を( )という。

B  ( )の考え方によれば,処罰の根拠は行為者の( )にあり,( )は犯人を( )して( )させることを目的とし,これによって将来の犯罪も( )され,社会も防衛されると考えられている。したがって,( )と( )とは,犯人に対する矯正及び社会防衛の手段としては異ならないものとされる。このような考え方を( )という。

〔語群〕
a 道義的非難  b 社会的危険性  c 応報
d 教育改善  e 予防  f 保安処分
g 二元主義  h 一元主義  i 社会復帰
j 威嚇  k 社会防衛  l 古典学派
m 近代学派  n 刑罰  o 犯罪行為

1. 1個   2. 2個   3. 3個   4. 4個   5. 5個

(正解全文)
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by wolfgang_a | 2004-10-02 18:01 |   択一 刑法 (司法試験)
S 60-66 応報刑論
(正解全文)
応報刑論は犯罪を害悪と解し、これに対する刑罰は、なされた害悪に対して、これに相当するところの害悪・苦痛を加えて返すことを意味するものとする。
その場合の「相当」とは平等を意味し、相当性の要素によって刑罰は、単純な復讐と区別せられ、等分的正義という意味での正義理念に妥当し、刑罰は正当な応報と解せられるとするのである。
そして、その場合の「相当性」を事実的意味に解し、刑罰をもって、なされた害悪と事実的に同じ害悪を加えるものと解する説と、価値的意味に解し、、刑罰をもって、なされた害悪と価値的に同じ害悪を加えるものと解する説とに区別せられ、前者の代表者がカントであり、後の思想を展開したのがヘーゲルだと解されていることは周知のとおりである。
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前田 総論 p.18-24

なにが「周知のとおり」だ、ボケッ、こんなん解けるか、と言いたくなった問題でした。
2度と出題されないことを祈ります。
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by wolfgang_a | 2004-09-26 18:53 |   択一 刑法 (司法試験)
S 62-50, 51 予備罪の従犯
(正解全文)

刑法総則の従犯に関する規定は、予備罪が独立に処罰される場合のその予備罪についても適用されるのであろうか。思うに、犯罪の予備行為は、一般に基本的構成要件的結果を発生せしめる蓋然性は極めて少なく、したがって法益侵害の危険性も少ないわけであるから、通常可罰性はなく、特に、法益が国家的、社会的にすぐれて高いものと評価される特殊の犯罪に限って、その準備行為を、法益侵害の危険性が看過できないものとして、刑法は、例外的に処罰の対象としているのである。

しかし、

犯罪の予備行為というものは、実行行為に着手する以前の犯罪への発展段階にあるすべての行為を指称するものであり、基本的犯罪構成要件の場合の如く、得に、それが定型的行為として限定されていないところに特色がある。

したがって、

予備罪の実行行為は、無定形、無限定な行為であり、その態様も複雑、雑多であるから、たとえ、国家的、社会的にその危険性が極めて高い犯罪であっても、その準備行為を処罰することになれば、その処罰の範囲が著しく拡張され、社会的にはほとんど無視しても差し支えない行為の多くのものまでが予備罪として処罰されるおそれもないわけではない。

そこで、

刑法はこのように処罰の範囲がいたずらに拡張されることを警戒して、広範な予備行為の範囲を限定して、予備罪を構成すべき行為を限定的に列挙する場合もあり、更に又予備罪については、情状によりその刑を免除することにもしているわけである。

ところで、

従犯の行為も無定形、無限定である。したがって、もし、予備罪の従犯をも処罰するものとすれば、前の予備罪の正犯の場合にもまして、その従犯として処罰される場合が著しく拡張される危険のあることは極めて明らかである。助言による従犯の場合の如きを考えれば、言論活動の多くの場合までが、直ちに予備罪の従犯として処罰される危険性が高度である。

したがって、

予備罪の従犯を処罰するかどうかについては特に厳正な解釈態度が要求されるのである。

------------------

予備罪の共犯

否定説
名古屋高判S.36.11.27(本問の元ネタ、後掲最決原審、従犯を否定、共同正犯は肯定)
団藤、大塚、佐久間

肯定説
最決S.37.11.08 刑法判例百選Ⅰ- 79事件 (共同正犯を肯定)
平野、大谷、西田、山中、前田(総論 p.393)、山口(総論 p.265)
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by wolfgang_a | 2004-09-21 17:28 |   択一 刑法 (司法試験)
H 09-57 虚偽公文書作成罪の間接正犯
(事例)
印鑑登録証明書発行の補助事務を担当する某市役所市民課係員は、内容虚偽の同証明書を発行しようと企て、証明書用紙に虚偽の事項を書き込み、これを決済権限が付与されて市長印を保管している同課係長に提出した。事情を知らないは、提出された証明書用紙に市長印を押印するなどして、印鑑登録証明書を発行した。


(正解全文)

係長Aに付与された権限に照らすと、Aが発行した印鑑登録証明書は虚偽公文書であるが、Aにはその旨の認識がないから虚偽公文書作成罪は成立しない。

したがって、

共犯の実行従属性を要求する立場からは、甲には虚偽公文書作成罪教唆犯は成立しないので間接正犯の成否が問題となる。しかし、虚偽公文書作成罪真正身分犯であることから、非身分者はその実行行為を行い得ないとして成立を否定する立場によれば、甲には虚偽公文書作成罪間接正犯も成立しない(植松、香川)。

これに対し、

非身分者身分者を利用することによって保護法益を侵害することが可能であるとして間接正犯を肯定する立場では、さらに公正証書原本等不実記載罪との関係で検討が必要となる。

公正証書原本等不実記載罪は重要な公文書についてのみ、その虚偽記載行為の間接正犯的形態での犯行態様を虚偽公文書作成罪に比して著しく軽い法定刑で処罰しているから、それより重要性の低い公文書に関する同様の犯行については処罰しない趣旨であると解すると、甲には虚偽公文書作成罪間接正犯は成立しないことになりそうである(西田)。

もっとも、

甲は印鑑登録証明書の発行権限がないという点では非身分者であるが、甲が公務員であり、補助者とはいえ発行事務に関与している点に着目して、甲に虚偽公文書作成罪間接正犯が成立すると解することも可能である(判例、団藤、平野、大谷、前田、山口、町野、曽根、林)。

---------------

最判S.51.05.06 刑法判例百選Ⅰ- 88事件
最判S.32.10.04 刑法判例百選Ⅰ- 89事件
前田 『刑法各論講義』 p.384-6
山口 『刑法各論』 p.441-4
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by wolfgang_a | 2004-09-18 21:46 |   択一 刑法 (司法試験)
H 16-46 背任罪の図利加害目的
<正解全文>
学生A (大塚、藤木、大谷)
図利加害目的が認められるためには、自己若しくは第三者の利益になること又は本人に損害が発生することの確定的認識が必要であると解すべきである。

学生B (最決H.10.11.25、香城、西田、前田、山口)
A君に反対だ。
A君の意見では、「主として本人に損害を加える動機で任務違背行為を行ったが、それによって本人に損害が発生するかどうかについて確定的認識がなかった。」 という事例の場合、背任罪の成立が否定されることになるが、その結論は私の立場からは支持できない。

学生C (?)
僕はA君とは違う意見だ。
自己若しくは第三者の利益になること又は本人に損害が発生することの未必的認識があれば足りると解すべきである。

学生B (最決H.10.11.25、香城、西田、前田、山口)
C君に反対だ。
C君の意見では、背任罪の故意が認められる場合、同時に図利加害目的が肯定されてしまう。

学生C (?)
B君は、僕らと違う視点から図利加害目的の有無を判断する意見だったね。

学生B (最決H.10.11.25、香城、西田、前田、山口)
そのとおりだ。
僕は、主として本人の利益のために行ったのか、それとも、主として自己若しくは第三者の利益のため又は本人に損害を加えるために行ったのかという、任務違背行為の動機がどうだったかにより図利加害目的の有無を判断すべきだと思う。
そこで、「主として本人の利益を図る動機で任務違背行為を行ったが、それによって本人に損害が発生するかもしれないと認識していた。」 という事例の場合、C君の意見では背任罪の成立が肯定される余地があり、僕の意見では背任罪の成立は当然に否定されることになると思う。
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最決H.10.11.25 (刑法判例百選Ⅱ67事件)
前田 (各) p.274-8
山口 (各) p.320-2
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by wolfgang_a | 2004-09-01 19:09 |   択一 刑法 (司法試験)
H 16-44 間接幇助の可罰性
<正解全文>( ( ) 内、筆者)
学生AないしCは、正犯を幇助した者を幇助した甲の可罰性について会話している。
(刑法第62条第1項 正犯幇助した者は、従犯とする。)

学生A (西田)
僕は、甲は処罰されると考える。
刑法第62条第1項の 「正犯」 は基本的構成要件に該当する行為を行ったものに限られず、修正された構成要件に該当する行為を行った者を含む (正犯概念拡張説) と考えるからだ。

学生B (最決S.44.7.17、大谷、前田、山口)
僕も、甲は処罰されると考えるが、A君の (正犯概念拡張説) 刑法第62条第1項の 「正犯」 は基本的構成要件に該当する行為を行ったものに限られず、修正された構成要件に該当する行為を行った者を含むという見解とは異なり、刑法第62条第1項の 「正犯」 は、基本的構成要件に該当する行為を行ったものに限られると考える。
A君の意見には、「幇助の教唆」 も 「幇助の幇助」 も刑法第61条第1項で処罰されることになるから、同条第2項、第62条第2項の固有の意義が失われるという問題がある上、正犯概念の厳格な理解が困難となり、「実行」 という概念の統一的な解釈が困難となると思う。
むしろ、刑法第62条第1項の 「幇助」 は、幇助者が直接的な関与により正犯を幇助した場合に限られず、直接幇助者を介在させた間接的な関与により正犯を幇助した場合を含む (幇助概念拡張説) と考えて甲の可罰性を認めていくべきだ。

学生C (団藤、大塚)
僕は、甲は不可罰と考える。
刑法第62条第1項の 「正犯」 は、基本的構成要件に該当する行為を行ったものに限られると考えることについてはB君に賛成だが、B君のように (幇助概念拡張説) 刑法第62条第1項の 「幇助」 は、幇助者が直接的な関与により正犯を幇助した場合に限られず、直接幇助者を介在させた間接的な関与により正犯を幇助した場合を含むと考えると、「幇助の教唆」 も 「幇助の幇助」 も正犯の実行を容易にしたという点で同様であるから、刑法第62条第1項で処罰されることになり、同条第2項の固有の意義が失われるという問題があり、また、幇助行為は定型性が緩やかであるので、処罰範囲が不当に拡大するおそれがあると思う。
そこで、僕は (幇助概念拡張説) 刑法第62条第1項の 「幇助」 は、幇助者が直接的な関与により正犯を幇助した場合に限られず、直接幇助者を介在させた間接的な関与により正犯を幇助した場合を含むと考えるのではなく、刑法第62条第1項の 「幇助」 は、幇助者が直接的な関与により正犯を幇助した場合に限られると考えている。
--------------------

刑法 参照条文

(教唆)
第61条
第1項 人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
第2項 教唆者を教唆した者についても、前項と同様とする。

(幇助)
第62条
第1項 正犯幇助した者は、従犯とする。
第2項 従犯を教唆した者には、従犯の刑を科する。

参考文献
最決S.44.7.17 (刑法判例百選Ⅰ- 83事件)
前田 (総) p.435-6
山口 (総) p.273-4
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by wolfgang_a | 2004-09-01 11:50 |   択一 刑法 (司法試験)
H 07-48
例によって。( )内の判例・学説は筆者。
-------
刑法第103条
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、二年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

逮捕・拘留中の犯人甲の身代わりとして警察に出頭した乙の罪責に関して。

A君 (団藤くん、大谷くん、西田くん、山口くん)
刑法第103条の立法趣旨は、官憲による身柄の確保に向けられた刑事司法作用の保護にある。
また、同条の規定する行為のうち、蔵匿は、逮捕・拘留されている者について行われることは考えられず、同条の規定する客体のうち、拘禁中逃走したる者については 、官憲による身柄の確保がなされていないものを予定している。
したがって、本犯の嫌疑により、既に逮捕・拘留されている者については官憲による身柄の確保がなされているから、身代わり自首がなされても、それだけで本罪の成立を認めることはできず、その結果として、誤ってその逮捕・拘留が解かれるに至ったときに、犯人を隠避させたということができる。

B君 (前田くん)
本条は官憲による身柄の確保に限らず、犯人の特定作用も含む刑事司法作用を広く妨害する行為を処罰する趣旨・目的に出たものである。
身代わり自首は、それ自体犯人の発見・逮捕を困難にさせる上、犯人の特定に関する捜査にも混乱・妨害を及ぼすから、犯人が逮捕・拘留されているとしても、犯人を隠避させたことになる。
-------
最決H.1.5.1刑法百選Ⅱ123事件参照。
本件第一審、福岡地裁小倉支判S.61.8.5がA説そのまま。
最高裁判例は、A説を前提としながらも、結論は限りなくB説に近づくようだ。
山口説も、正確に言うと、A説ではなく、最高裁判例と同旨、といっていいように思われる。

山口 『各論』 P.574-6
前田 『各論』 p.460
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by wolfgang_a | 2004-08-21 17:53 |   択一 刑法 (司法試験)
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