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「プライバシーの権利」と最高裁判例
以前の記事、憲法 H.16-Ⅰにて、
 現代の情報化社会においては、知られたくないことをみだりに公開されない、また、ひとりで放っておいてもらう自由という意味でのプライバシー権の概念が、重要性を増している。
 憲法には、それを保護する明文規定がないが、その重要性に鑑みて、人格権に関わるものとして、憲法13条において、プライバシー権は保護されている、と解すべきである(判例に同旨)。

などと、不用意に書いてしまったところ、bon さんから貴重なコメントをいただきました。
プライバシー権が13条で保障されるという最高裁判例はないですよ。
下級審ならあるけど。

bon さん、どうもありがとうございました。
確かに、おっしゃるとおり、「宴のあと事件」(東京地判S.39.09.28 憲法判例百選Ⅰ- 68事件)は地裁判決であって、最判ではなかったので、「判例に同旨」という表現は不適切でした。

ただ、改めて、復習したところ、肖像権についての「京都府学連事件」(最判S.44.12.24 前掲20事件)や、「前科照会事件」(最判S.56.04.14 同21事件)、「指紋押捺拒否事件」(最判H.07.12.15 同4事件)などを念頭に、「プライバシーの権利を正面から明確に定義したもの」でも「この概念を用いたもの」でもないことを認めつつも、「実質的にその中身の一部を肯定した」と捉える学説もあるようです(有斐閣 『憲法Ⅰ』 p.256 〔野中〕)。
さらには、「人格権の一つとしてのプライバシーの権利」が前掲「最高裁判決によって憲法上の権利としても確立した」と言い切る学説もあるようです(芦部 『憲法』 p.117-8)。

もちろん、bon さんのおっしゃることは事実なので、論文試験の答案としては「判例に同旨」という表現は避けたほうが、間違いなく無難だったと思います。

bon さん、どうもありがとうございました、これからもよろしくです。
もし、bon さんもブログやHPなどをお持ちでしたら、差し支えなければ、そちらのURLも教えていただけると、うれしいです。
by wolfgang_a | 2004-09-27 21:57 | 司法試験
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